アマゾン現役社員の池乃堀正太郎、かく語りき

キャリア磨きに力を入れたい人へのアドバイスです。

持論⇒議論⇒理論⇒自論のアプローチは斜め45度を狙おう(続き)

前回、持論⇒議論⇒理論⇒自論のアプローチの中の理論の位置づけについて触れました。そこでは、①人間は広さよりも深さを追求しがちになるので理論を使い知を広げることが重要である、②同じような話が企業でもあり自分の得意分野を伸ばすことに固執しすぎて変化に遅れることがある。これをサクセストラップと呼ぶ*1、と説明しました。

今回はサクセストラップをいかに防ぐかについて、前回と同じく『両利きの経営』を踏まえ考えてみたいと思います。本書のエッセンスは以下の5点です(5点に要点が詰まっていますのでぜひじっくり読んでみて下さい)。

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  1. 変化に成功する企業は、深化という行動と、探索という行動を同時に行います。深化という行動は、既存の資産と組織の能力を高め利益を追求することです。探索という行動は、コストや時間をかけてでも新規事業を生み出し成長を促すことです。深化と探索、これらを同時に行うことが重要です。

  2. 同時に行うことで、企業は、既存事業の組織能力を有効活用しながら、組織能力を新しい強みに作り替えて新規事業を生み出していくことができます。深化と探索を、同時にバランスを取りながら実践することを、両利きの経営と呼びます。

  3. 両利きの経営がやっかいなのは、両者のバランスをとることの難しさにあります。なぜなら、深化と探索では求められる成果が根本的に異なるためです。深化は既存事業の改善により収益を安定的に確保することが求められます。一方で、探索は、新規事業へのスピードや柔軟性を重視しコストをかけてでも不確実性が高い成果を上げることが求められます。

  4. 当然ながら、短期的な成功が保証されている深化のほうが企業にとって取り組みやすいといえます。企業は成り行きでは深化に流れやすいのです。そしてサクセストラップに陥ってしまいます。

  5. したがって、探索を同時に成り立たせるためには経営者の存在が不可欠です。経営者のリーダーシップが、深化の惰性に流れることを防ぎつつ、探索の勢いを促進するのです。経営者は、探索の行動が途切れないよう継続的な支援を行わなければなりません。例えば、新規事業が必要な資源を確保する、新規事業を組織から正式に切り離す、などです。経営者は、探索による新規事業を円滑に行うため、既存事業からの妨害を防がなければならないのです。

上記からサクセストラップを防ぐには企業のトップである経営者のリーダーシップが重要とあります。個人ではどうでしょうか。当然本人自身の主体性(Ownership)や積極性(Positiveness)が重要となります。

また企業の場合、新規事業が必要な資源を確保する、新規事業を組織から切り離すという行為が有効とありますが、これを個人に置き換えると、持論を議論に引きずり込まれないように情報をシャットダウンし、そのうえで外部の知恵を取り入れる(=つまり理論を取りいれる)ことが有効となると考えられます。

最後に両利きの経営を行う企業というのは深化と探索を同時にバランスを取りながら実践しているとありました。個人に置き換えると、実務で知識や経験を積みそれを内部での議論で深めながら(深化)、理論で外部の知見を広げていく(探索)、ことを同時進行で行うとよいと読み取ることができると思います。

このように、個人のサクセストラップを防ぐために『両利きの経営』で学べることはたくさんありそうです。次回は『両利きの経営』で成功事例として取り上げられている、アマゾンについてちょっと触れてみたいと思います(まだ続きます)。

*1:チャールズ・A・オライリー; マイケル・L・タッシュマン. 両利きの経営―「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く (Kindle の位置No.109-110). 東洋経済新報社. Kindle 版.