アマゾン現役社員の池乃堀正太郎、かく語りき

キャリア磨きに力を入れたい人へのアドバイスです。

持論⇒議論⇒理論⇒自論のアプローチは斜め45度を狙おう。

これまで3回にわたり持論⇒議論⇒理論⇒自論のアプローチの重要性について触れてきました。自論の引き出しが多ければ多いほど目の前に広がる事象が「いつか見た景色」となり効果のある打ち手や決断ができるようになります。それが優秀なリーダーの条件になると私は考えています。

改めてこのアプローチをまとめると、①持論は議論と組み合わせることで深さの磨き上げとなり、理論との組み合わせで広さにつながる、②持論に深さと広さが組み合わされば自論になる、という話です。図でまとめるとこんな風になります。 f:id:ikenobori:20201028222035p:plain

もう一つポイントとして理論の重要性についても触れました。人間は知らないことを知るということが困難であることが背景にあり、広さよりも深さを追求しがちになってしまいます。そうするとベクトルでいうと斜め45度あたりを狙いたいのに気が付けば縦方向に矢印が立ってしまうということになります。

縦方向になればなるほど特定の範囲内でしか適用できないので例えば転職した際にまた一から知見や経験を積みなおさなければならないという感覚に陥ってしまいます。

ここで登場するのが理論です。理論により先人の知恵を借りることでより汎用的な自論に磨き上げるのです。この理論の有効性を知ることが優秀なリーダーの第一歩になると思います。

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ところで、この縦軸と横軸を見ながら、私は『両利きの経営』*1 を思い出しました。両利きの経営も一つの経営理論です。エッセンスを一言で紹介するとこのようになります。

企業が市場の変化に追随できず失敗するのは、自社が得意な分野に固執してしまうためです。決して戦略的な洞察力や経営資源が不足しているからではありません。長期的に成功し続けるために、企業は、既存の組織能力の深化と、新しい事業領域の探索をどちらも追い求める必要があります。

冒頭で触れた話に似ていないでしょうか。

企業も人間と同じで自分の得意な分野を伸ばすことに固執しがちになります。取り上げるとキリが無いですが日本の大手家電メーカーにみられる商品の同質化やニーズを無視した過度な高機能化はこの典型例です。こういった企業は決して戦略的な洞察力や経営資源が不足しているわけではありません。実は皮肉なことに成功につながる技術を持つ企業であっても失敗する事例はたくさんあるのです。

こういった企業が変化に失敗する理由は、目の前にある世界がすべてと考え、すでに知っていることに力を注ぎがちになるためです。一度成功した企業ほどその傾向に陥りやすいといわれます。企業は、ひとたび成功して、自分たちのやっていることが正しいと認識すると、その世界に疑念を持たなくなります。これを認知心理学の世界ではサクセストラップと呼ぶそうです*2

人間も全く同じ傾向にあると思います。生身の人間ですから、企業よりより顕著に出ることは間違いないと思います。企業だけでなく人間も、知っていることに力を注ぎがちになります。そして気付けば独りよがりになってしまう可能性があるのです。キャリア形成においてもサクセストラップに陥ってしまうことを絶対回避しなければなりません。ではサクセストラップを回避するにはどうすればいいでしょうか。『両利きの経営』踏まえ考えてみたいと思います(続きは次回)。

*1:両利きの経営 (日本語) 単行本 – 2019/2/15 チャールズ・A. オライリー (著), マイケル・L. タッシュマン (著)

*2:チャールズ・A・オライリー; マイケル・L・タッシュマン. 両利きの経営―「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く (Kindle の位置No.109-110). 東洋経済新報社. Kindle 版.