アマゾン現役社員の池乃堀正太郎、かく語りき

キャリア磨きに力を入れたい人へのアドバイスです。

歴史あるリーダーシップの研究(その4)

前回までいくつかのリーダーシップの体系をお伝えしてきました。今日は4つ目のリーダーシップ、Transformational Leadershipについて説明します。

前回、Transactional Leadershipを説明しましたが、Transformational Leadershipはこの対比で整理すると分かりやすくなります。前者は労働に対する対価という交換という関係を重視するものです。後者はリーダーのカリスマ性によるビジョンを重視するものとなります。よって、部下は報酬などに期待して行動を起こすのではなくカリスマ性に惹かれて自発的に能動的に行動を移すことが期待されます。

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Transactional LeardershipとTransformational Leadershipとを明確に定義づけしたのはバーンズという政治学者です*1。その後バスという組織心理学者がバーンズの概念を実証研究で検証しました*2。バスはTransformational Leadershipをいわゆるカリスマリーダーシップなどによる高い道徳観だけにアピールするものではないとし、具体的には、以下の4つの点を持つリーダーシップであると強調しました。

  • Charismatic leadership = カリスマリーダーシップ
  • Inspirational motivation = インスピレーションによるモチベーション
  • Intellectual stimulation = 知的好奇心の刺激
  • Individualized consideration = 個人への配慮

以上まとめると、Transformational Leadershipとは、Providing vision(ビジョンの共有)やExpressing idealism(あるべき姿の追求)、Having high performance expectations(高パフォーマンスへの期待)を示すことで、部下の自発性や自律的な行動を促すもの。また、Using inspirational communication(感動させるコミュニケーション)を行うことやChallenging the status quo(成り行き主義への挑戦)を示すことで部下のProviding intellectual stimulation(知的好奇心)を刺激し部下のモチベーションを上げることにも気を遣うリーダーシップと言うことができます。

ちなみにTransformational LeadershipのほうがTransactional Leadershipよりもリーダーシップのパフォーマンスがよいという実証実験もあるようです*3が、私も同じ感覚を持っています。

一定の状況、一定のペースで改革を進める場合、過去の実績や経験が生きることが多い場合、Transactional Leadershipのほうが着実に確実に成果を出す可能性が高いと思います。ただ、不確定要素が多い昨今の状況では、過去の実績や経験が生きるとは限りません。答えが無い昨今ではこれまで培った人生観や歴史観に基づき判断(Lead)を行う場面が多くなる可能性が高くなります。そういったときには部下の腹落ち感を醸成するにはTransformational Leadershipがより重要になると思います。

カリスマ、知的好奇心、インスピレーション。今を時めく凄腕経営リーダーの発言や行動を思い返したときにピッタリくる言葉ではないでしょうか。

*1:Burns, J. M. (1978). Leadership. New York: Harper& Row

*2:Bass, B. M. (1985). Leadership and performance beyond expectations. New York: Free Press.

*3:入山 章栄. 世界標準の経営理論 (Kindle の位置No.6168-6170). ダイヤモンド社. Kindle 版.