アマゾン現役社員の池乃堀正太郎、かく語りき

キャリア磨きに力を入れたい人へのアドバイスです。

歴史あるリーダーシップの研究(その3)

今回も前回に引き続きリーダーシップについて述べたいと思います。前回の記事にはリーダーシップの定義の1つであるDirective Leadershipについて紹介しました。

今日は3つ目のリーダーシップである、Transactional Leadershipについて触れたいと思います。Transactionalとは言葉通り取引という意味です。取引ベースのリーダーシップというわけですが、何と何を取引するのかと言えば、部下のインプットと対価としてのアウトプットです。つまり部下のインプットを引き出し、その対価としてアウトプットを与えるようなリーダーシップです。

このTransactional Leadershipが成り立つのは下記3つの考え方に依拠しています。

1つは個人はパフォーマンスからの期待収益を最大化する行動に従事するという心理学に基づいた考えです*1。この考え方を提唱したのはブルームという心理学者でExpected Theory(期待理論)と呼ばれ心理学では有名な理論の1つです。期待理論はValuence(特定の行動をすることによって得られる成果に魅力があるか)、Instrumentality(行動と結果の間のつながりが明確か)、Expectancy(結果を得るために必要な行動をもたらす努力の知覚可能性があるか)、の3つの変数から構成されると言われております。つまり、人間はこの3つの変数がクリアであればあるほどモチベーションを最大化できると考えるのです(なのでTransactional Leaderhipが成り立つ)。

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2つ目はExchange/Equity Theory*2といわれるものに依拠します。人間は、個人は与えるものと受け取るものの間の公平性を維持しようとする、という心理学的な考え方です。心理学で言われなくても、(低いレベルのインプットは低い報酬で問題無いけれど)高いレベルのインプットを求める場合は高いレベルの報酬で報いられるべきだろう、と考えるのは当然なことかもしれません。なのでこのTransactional Leadershipが成り立つわけで、このリーダーは部下のインプットと報酬の整合性を図ろうと努力します。逆に言えば、これによってリーダーシップが発揮されるというわけです。

最後に3つ目はReinforcement theory*3というこれも心理学に基づく考え方です。The law of effect、つまり結果の法則を重視するもので、人間は行動の結果をしっかり報いるとその行動を繰り返す、と考えるところから来ています。Transactional Leadershipを行うリーダーは望ましい行動を補うのに十分な報酬を与えるように配慮するはずです。それによって部下の行動に大きな影響を与えるためです。

以上まとめると、Transactional Leadershipは、Providing personal rewards(個人的な評価のフィードバック)とProviding material rewards (報酬の提供)を行うことによって部下のインプットを引き出すリーダーシップです。リーダーは部下のインプットの最大化を行うために、Managing by exception(障害の除去)に注力します。

*1:Vroom, V. H. (1964). Work and motivation. New York: Wiley

*2:Adams, J. S. (1963). Wage inequities, productivity and work quality. Industrial Relations, 3, 9‐16

*3:Thorndike, E. L. (1911). Animal intelligence: Experimental studies. New York: Macmillan